2.緑化屋

小高い丘を切り開いた風当たりも日当たりも良すぎる平地に、緑化事務所とヘリポートはあった。
プレハブ建ての事務所の窓を震わすジェットヘリの爆音で、ヘリが着陸態勢に入ったことが知れた。整備に手間取り、半日も遅れていたヘリがやっと到着したのだ。
緑化屋は受話器を耳に当てたまま振り返り、やっと飛来したヘリの姿を窓越しに見つめた。ローターの巻き起こす風で、ヘリポート一体に凄まじい砂煙が舞っている。早く舗装をしなければ、ジェットエンジンの消耗を早めるだけだと思う。益々ヘリの整備に時間がかかるようになるだろう。荒廃しきった風景に似つかわしい非効率な事務所だと思った。

室内を圧する爆音でもはや、通話は困難な状態になっていた。
「お世話になります」と、大声で送話口に呼び掛けて受話器を置き、ふっと溜息をついた。

「緑化屋か」
小さく独り言をいったが、その声もヘリの爆音に消され、頭の中でのみ言葉となった。

緑化屋は良くプレスの効いた薄いベージュの作業服の上下に身を固めていた。白いワイシャツの襟元にはモスグリーンにワインレッドのストライプタイをきちんと締めている。幾分白くなった髪は広い額の横できちんと分けられている。知性的で落ち着いた両眼の間の深い皺がひときわ深くなった。先ほどの電話の内容が気に掛かるのだ。

電話は小学校六年生になる娘の担任の先生からだった。娘の祐子がまた、学校からいなくなったと通報してきた。これでもう三度目だった。友人の陶芸屋と元教員の老人が捜しに行ってくれるというので特に不安はなかったが、心の通い合えない自閉症の娘に歯がゆさを感じた。

「緑化屋か」と、また口に出した。

緑の消えた山に草の種をまき、植林をし、再び緑なす山に戻そうとする自分の仕事に情熱と誇りはあったが、家庭を犠牲にしてまでのめり込んだ割に成果は見えてこなかった。五十年、百年をかけての仕事なのだと分かってはいたが、思い通りにならない娘の話を聞いた後では、いつになく空しいもどかしさを感じてしまう。


いつの間にかヘリの爆音がやんだ。
作業員たちが草の種を詰めたコンテナを、ワイヤーで機体に繋ぎ止めている。遅れていた出動の時刻がきたのだ。三途の河原の石積みのように果てしなく続く作業の一つが、またこれから始まる。

緑化屋はデスクの方を振り向き、チカチカと瞬くパソコンのディスプレーをのぞき込んだ。今回の作業の場所と高度を確認した後、引き出しから携帯電話を取り出してベルトに吊った。大きく深呼吸してから歩を進め、ドアの前で立ち止まった。ドアに掛けられた鏡に映る顔を見つめる。
我ながら隙のない格好だが、疲労が滲み出ている感じがする。もう、中央を離れてから三年になるのだ。このまま禿げ山と一緒に朽ち果てるのだろうかと思ってしまう。ダークスーツに身を固め、官庁街を足早に歩き回っていた日々のことが頭を掠める。妻と娘の顔が脳裏に浮かんだ。二人の顔を打ち消そうと頭を左右に振る。鏡に映った顔の横でパソコンのディスプレーが、深海でもつれ合って舞う二頭の三角形の魚のようなスクリーンセイバーに変わるのが見えた。
スイッチを切るのを忘れたと思ったが、構わずドアを開けて外に出る。
寒風が頬に痛い。

緑化屋の姿を認めたパイロットがヘリのエンジンをスタートさせる。自然がもたらす静寂を破り、ジェットエンジンの爆音が再び周囲を圧する。毎日行われる儀式だった。もっとも、大仰なジェットヘリが醸し出す威圧感が、人に儀式に立ち会うような厳粛な気持ちを抱かせているに過ぎなかったが、彼は十分そのことを認識していた。美しい自然を甦らすために人間が使う、尊大な乗り物に過ぎないと思っていた。

緑化屋は苦笑いして、足元の小石を蹴った。
ヘリポートの方角に転がって行く小石の先で、急速な勢いで彼に向かってスピンターンして来る白いベンツが視野一杯に膨れ上がった。ヘリの爆音に消され、エンジン音は聞こえなかった。音もなく眼前に迫る巨大な車体に身がすくんだ。足が震え、背筋を冷たいものが掠めた。
轢き殺されるかもしれないと思った瞬間、白い車体がきしみ、緑化屋の一メートル前でベンツが止まった。必死にロックした車輪がスリップし、舞い上がった砂埃が緑化屋と車体を包み込んだ。

緑化屋は腹の底から込み上げてくる怒りに目を赤くして、車内の人物に目を凝らした。しかし黒いスモークフィルムを張った車窓からは、車内をうかがうことはできない。

ヘリのローターが運ぶ風に煽られるように、ベンツの後部ドアが勢い良く開けられた。
「お前が緑化屋か」
ヘリの爆音にも負けぬ大音声が轟き渡った。
大きく開いたドアから半身を乗り出した男は、さしもの大型車さえ窮屈に見えるほどの巨漢だった。黒のスリーピースにピンクのシャツ、襟元にはシルクニットのブラックタイといういでたちだった。

「町長はもう、意見書を県に提出済みなんだ。変な動きを見せるとただじゃおかないからな」
ドスのきいた声で続けた。
「あなたは何者ですか。無断で事務所の構内に入り込んでは困る。もう少しで轢き殺される所だった」
男の剣幕に畏怖されて緑化屋の怒りは急速に萎み、我ながら弱々しい声になってしまったと思った。
「まだ殺しはしないさ。今日は挨拶に来ただけだからな。俺は産廃屋の竹前という者だ。あっちは秘書役のカンナ」
産廃屋が顎をしゃくるとベンツの運転席が開き、真紅のスーツを着た背の高い女がすっくと立ち上がった。端整な顔立ちだったが、顔にはこれと言った表情はなく、能面のような冷たさが伝わる。両の眉は落としてあった。

産廃屋たちの車を業務関係者と見たのか、パイロットがヘリのエンジンを切った。吹き抜ける風の音だけになった荒んだ広場の端に、白いベンツと黒と赤のスーツが異様な彩りを添えている。
「しらばっくれた顔をされては困るんだよ。俺が来たからには、元山沢の産業廃棄物処理施設建設のことに決まっているだろうが。県知事の認可待ちだっていうのに、国の技官が反対運動をするなんて聞いたことがない。職権を乱用する気なのか、俺に文句が付けたいのか、はっきりさせてもらおうじゃないか」
先ほどよりトーンを落とした声が、静寂の中で風の音を圧した。

緑化屋は、やっと事情が飲み込めた。いわれのないことではなかったのだ。
水瀬川に合流している誉川の川筋一帯は元山沢と呼ばれている。かつて、この町の最初の繁栄を支えた鉱山が元山鉱なのだ。その元山鉱は、誉川の右岸に切り立つ巨大な誉鉾岳の山中の固い岩盤を、鉱脈に沿って縦横に掘り尽くした後、やっと廃鉱となった。もう五十年も前のことだ。今は小学校の分校が往時をしのばせているだけで、鉱山に関する施設はすべて廃墟となっていた。
その元山沢全体を産業廃棄物で埋め立てる計画が進んでいるのだ。そして緑化屋は元山地区に住み、娘の祐子は分校に通っている。産廃処分場の建設に反対するのは、住民として当然だった。

「せっかく緑の還ってきた沢を産業廃棄物で埋め尽くすなんて許せません。私は公務員としてではなく、一緑化技師として反対しているのです。産廃処分場の建設なんて、とても良心が許しません」
毅然として言い切れたことに、緑化屋は満足を感じた。
「まあ、良心も命のあるうちって事を知っておいた方がいい」
ぼそっと言った産廃屋に、秘書役が口を開けた黒いバックを差し出す。無造作に右手をバックに入れた産廃屋が取り出したのは、真っ黒な大型拳銃だった。軍用のベレッタM92Fがまっすぐ、緑化屋の眉間に狙いを付ける。緑化屋の目が恐怖に大きく見開き、背筋が凍り付いた瞬間。下げられた銃口から貧相な音とともに三発の銃弾が発射され、足元で跳ね返った。
あっけにとられた緑化屋の耳に産廃屋の高笑いが聞こえた。
「今日の所は挨拶代わりのモデルガンだ。だが、舐めるんじゃないぞ。いつだって実銃を持って来ることができるんだからな」
捨てぜりふを残した産廃屋が背を向けてベンツへと向かう。さっと短いスカートを翻した秘書役がドアを開けた。
「おとなしくしていれば、二度と会うことはないだろうよ」
後部座席に収まった産廃屋が言葉を投げると同時にドアが閉まり、ベンツは凄い速度でスタートした。

「出入りの業者なんですか」
心配してヘリから降りて来たパイロットが緑化屋と肩を並べて尋ねた。既にベンツは山陰に入ってしまっている。
「ただのやくざさ」
投げ捨てるように言った緑化屋の口元をパイロットが見つめる。
「やくざなんですか。一人は若い女性のようでしたが」
「利権を見つけて潜り込んでくるウジ虫みたいなやつだよ。男も女も関係ないね。さあ、もう飛ばなきゃあ。ずいぶん手間取ってしまった」
嫌悪感が喉元まで込み上げ、緑化屋は思わず地面に唾を吐いた。
もう十年来していない野蛮な行為をした自分に腹が立った緑化屋は、パイロットを置き去りにして足早にヘリへと歩を進めた。


緑化屋は機上から、鳥の目になって荒廃しきった山塊を見つめている。
水瀬川の源流に近い沢筋は、表土をなくし、黒々と岩肌を露出させた山並みが両側からヘリを押し包んでくる。

「この沢筋の緑地は、まだまだですね。さっき飛んだ元山沢ほどに回復してくれるといいんですがね」
耳にかけたレシーバーを通して、パイロットが話しかけてくる。
「まったくだ。相当頑張らなくちゃな。せっかく盛った表土が雨水で流れてしまうんだ。早く草が根を張ってくれないと植林もできない」
「でも、元山沢は素晴らしくなりましたね。回復した緑を産業廃棄物で埋め尽くす計画があるなんて信じられませんよ」
「そんなこと、させはしない」
語気鋭く言ってしまってから、緑化屋は穏やかに言葉を続けた。

「人の驕りだよな。確かに、産業廃棄物の処理は緊急に手配しなければならない問題だが、よりによって人がさんざん痛め尽くした同じ自然に、また痛みを強いることはないと思うよ。それもせっかく回復しかかってきた山なんだからね」
「まったくです。もうじきダムに着きますから高度を上げますよ」
パイロットの声と同時にエンジンが大きく唸り、機体が上昇した。眼下で曲がりくねっていた水瀬川が視界から消え、傾斜した視界に荒れ果てた岩肌が映った。いつになく乱暴な操縦だと思ったとき、荒れた山塊をバックに黒い物体が近付いて来るのが見えた。
「何だあれは、イヌワシじゃないか。何でこんな所に。何でヘリに向かって来るんだ」
パイロットの驚愕した声がレシーバーの中に満ちた。
その物体は緑化屋にも、確かにイヌワシに見えた。成鳥というより老鳥といった方が良いほど巨大な体格だった。この辺にいるはずもないイヌワシがなぜヘリを襲うのか、まるで理解できなかった。しかしイヌワシは、二メートル以上もある精悍な翼を悠々と羽ばたかせ、一直線にヘリに向かって飛翔して来る。山々に込められた憎悪と悪意を剥き出しにしたような金色の目さえ、はっきりと見えた。

「アッ」と言うパイロットの声とともに機首が下がり、途端に上方でドーンという音がして機体が鋭く振動した。
「エンジン、ストール。失速します」
パイロットの声がやけに間延びして聞こえた。

「どうした、何が起こったんだ」
「イヌワシがジェットエンジンの中に飛び込んだんです」
見る見るうちにヘリの高度が落ちていく。目の下に砂防ダムの堰堤と舗装道路が見えていたが、そこまで持つとは思えなかった。惰性で回るローターに機体を上昇させる力はない。

「何とかダム湖まで持たせます。着水しましょう」
落ち着きを取り戻した声でパイロットが言い切ったとき、横風が機体を襲った。途端に横にかしいだヘリが横滑りして風に流され、パイロット側の山肌へと吸い込まれて行く。
「耐衝撃姿勢」
パイロットの叫びが緑化屋の耳から脳の奥まで響いた。
ゆったりとした速度でヘリは山肌へと吸い込まれていく。ローターが岩盤に当たって砕け散り、機体がねじ曲がっていく様が妙に冷静に体感できた。
目の前まで迫った漆黒の岩肌の中に、イヌワシの憎悪に燃えた両眼が浮かび上がり、瞬く間に人間の目に変わった。忘れもしない、驚愕に満ちた娘の祐子のまなざしだった。
これで死ぬのかと緑化屋は思い、祐子の瞳に遠く思いを馳せた。



猫の目のように光った瞳は、閉めたはずの襖の細い隙間にあった。
大きく見開かれた瞳の中に、緑化屋が驚愕と恐怖を読み取るとすぐ、襖は閉められた。続いて走り去る、ぱたぱたというスリッパの音が耳を打った。

「しまった、祐子だ」と緑化屋は口にしたが、声が口から発せられることはなかった。彼の口には、ピンポン玉ほどの穴の空いたプラスチックの球が押し込められていたのだ。球の両端から延びた黒い皮紐が、首の後ろできっちりと結ばれていた。音声とならない声は、球に空いた穴から息となって洩れた。同時に一筋の涎が穴を伝って滴り、股間に顔を埋めた妻、道子の白いうなじを濡らした。

緑化屋は慌てて身じろぎしたが、後ろ手に緊縛された麻縄はびくともしない。
「ウー」と呻くとまた、陰惨な猿轡の中から息とともに涎がこぼれた。

まだ親子三人で都会に住んでいたときのことだ。娘の祐子は確か四年生になったばかりだった。まだあれから三年しか経っていない。
祐子が見たはずの緑化屋は素っ裸だった。
全裸のまま後ろ手に緊縛され、床柱に繋がれていた。その股間に顔を埋め、ペニスを口に含んでいる道子も全裸だった。祐子の目には、背後に高く突き出された道子の尻も見えたはずだった。目の前に突き出された母の股間に挿入されたバイブレーターは、祐子の目にどう映っただろうか。
緑化屋は全身の血が凍り付くような寒さを覚えた。

久しぶりに、あれほど猛々しく勃起していたペニスが急に萎えたので、道子は戸惑っている様子だった。小さく萎んだペニスを、しきりに舌で転がしている。
やがて、元通りにならないペニスに異常を感じ取って顔を上げ、もの問いたそうな目で緑化屋を見上げた。濡れた口元に張り付いている黒い陰毛が、スタンドの明かりではっきり見える。思ったより部屋は明るいのだ。

声を出せぬもどかしさに緑化屋は顔を左右に振り、畳に着けた尻を動かした。途端に鋭い痛みが喉と尻全体を襲った。首を二巻きして床柱に縛り付けた縄が喉を締め付け、さんざん鞭打たれて腫れ上がった尻が畳で擦れたのだ。
目の前の畳に投げ捨てられた黒い革鞭が、凶々しく目を打つ。
鞭も猿轡も、道子の股間に挿入したバイブレーターも麻縄もみんな、緑化屋が買って来た品だった。
動揺した緑化屋の目を見て道子が立ち上がり、首の後ろに手を回して猿轡の皮紐を解く。顔に被さってきた股間から、振動を続けるバイブレーターの微かな音が聞こえた。
緑化屋は、痺れきった舌で口の中の球を外に押し出す。涎まみれの白い球が左右に開かれた股間に落ちた。

「どうかしたんですか」
バイブレーターの入った腰をもぞもぞと動かしながら、道子が尋ねた。
「祐子に見られた」
我ながら情けない声が出たと緑化屋は思った。
「そうですか。鞭の音が大きすぎたのかしら。でも、まだ四年生ですから」
「もう四年生だ」
意外にあっけない道子の反応に苛立った緑化屋が声を荒らげた。

「見られたものは仕方ないじゃないですか。そんなことでできなくなってしまったんですか」
聞いた瞬間、全身が真っ赤になるのを感じた。
「君はなんともないのか」
「仕方ないでしょう。あの子の記憶を消しゴムで消すことはできないですし、それに、」
「それに何だって言うんだ」
「今夜のことは、あなたが望んだことなんですから」
また全身が赤くなるのを感じた。視線を落とし、スタンドの明かりに照らし出された自分の姿を見下ろす。
足首と腿を緊縛され、麻縄で大きく左右に広げられた股間が見える。股間の中心には小さく萎びきったペニスがぶら下がり、ペニスの両側にウエストを二巻きして股間に下ろした麻縄が食い入っていた。
確かにすべて、緑化屋が道子に頼んでしてもらったことだった。急激に恥ずかしさが込み上げてくる。

「そんなに気にすることはありませんよ。あなたは忙しすぎてストレスが溜まりすぎていたのだから、仕方ないじゃないですか。毎日仕事で午前様だったし、夜も眠れなかったんですもの。夫婦で解決できることをしただけですから、罪悪感を感じる必要はありません。本当に一年振りなんですからね」
緑化屋はまた頬を赤く染めた。確かに一年間道子を抱いたことはなかったのだ。しかし、道子の自信に溢れた言葉にも関わらず、緑化屋は再び性の喜びを追って勃起することはなかった。

緑化屋はその夜、瞼に残る祐子の視線の痛みとともに、自ら望んで道子に鞭打たせた尻の痛みで、眠りに就くこともできなかった。
そして、娘の祐子はその夜限り自らを閉ざしてしまった。



まさに岩壁に激突しようとする直前、黒々とした岩肌に浮かび上がったイヌワシとも祐子とも思われぬ瞳は、激しい衝撃とともに消えた。

機体の半分を押しつぶされたヘリは、岩肌の斜面に沿って落下していった。高度が落ちていたため、墜落のショックは瞬時にやってきた。床から突き上げる打撃を座席で丸くなって耐えようとした緑化屋は、反動で後頭部をしたたか打った。
幸い火災は発生していない。全身の痛みに耐えてセーフティーベルトを外し、身体を横に向けて腰に吊った携帯電話を手にした。すぐ目の前に、押しつぶされて妙な形にねじ曲がったパイロットの身体があった。緑化屋の口から脳にかけて酸っぱいものが上がってくる。最後の気力を振り絞って110番にダイヤルし、墜落事故を通報した。

急速に薄れていく意識の中で、ねじ曲がった身体と金色の目、それに祐子の瞳が錯綜する。やがて緑化屋の意識は混濁し、失われていった。


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